岡﨑ひなたは、自身が生まれ育った和歌山県の人口1942人の小さな村を撮影し、都市化によって失われつつあるものにフォーカスした「水面にカゲロウ」で、第25回写真「1_WALL」グランプリを受賞しました。審査員からは言葉を超えた魅力を持つ写真の力強さや、写真を的確に選ぶ力が評価されました。
本展では、村の祭りで流鏑馬に使われる馬の口元、お盆飾りを燃やす人、初泳ぎに人々が集まる様子、朝焼けを背に蟹を抱え上げる漁師、廻しを締め祭りに向かう子供など、自身が生まれ育った村や、その周辺の村で暮らす人々の日常を撮影した写真を展示します。岡﨑の写真からは、今も人々の生活の中に日本古来の文化や信仰心が根付いており、山や海、森、川、生き物から恵みを受け、共有し助け合いながら生活している様子をうかがい知ることができます。変わり続ける都市と、変わらない文化が残る村の両方を知った岡﨑は、日本古来の文化を再認識し、村の現在を写すことで、自身が重んじている文化を後世に残すことを試みます。
また、会期中6月9日(金)には、写真家の津田直さんをゲストに迎え、トークイベントを開催します。グランプリ受賞から約1年後の個展を、ぜひご覧ください。