耳に心地よい名曲を並べて華やかに新年を寿ぐ、いわゆる“ニューイヤーコンサート”とは一線を画し、毎年話題を呼ぶトッパンホールの〈ニューイヤーコンサート〉。今年は、この公演のためだけに招聘するチェロ界の鬼才ピーター・ウィスペルウェイによる、全身全霊の無伴奏で幕を開けます。チェロの聖典とも言われるJ.S.バッハと、デビュー当時から情熱を傾けるブリテンは、古楽と現代を自在に弾きこなすウィスペルウェイを象徴する作品。後半は10代からトッパンホールの舞台で経験を積む山根一仁、毛利文香（ヴァイオリン）、北村朋幹（ピアノ）に、ドイツで活躍する湯本亜美（ヴィオラ）が、2025年に没後50年を迎えるショスタコーヴィチの傑作《ピアノ五重奏曲》でウィスペルウェイと共演。動乱と大粛清の時代のソ連を生き、「作曲」を通じて人間の尊厳を問い続けたショスタコーヴィチは、世界情勢が混迷を深める現代に、世界的に再評価高まる作曲家です。“室内楽の殿堂”に相応しい、重量感溢れるプログラムをお楽しみください。