現在、WALL_shinjukuでは7月13日(日)から10月29日(水)まで齋藤帆奈個展「co/evo/lution」を開催しております。
スペースのオープン以来、4回目となる今回は、齋藤帆奈による個展「co/evo/lution」を開催いたします。齋藤帆奈は、自然と人間の境界をテーマに、粘菌の動きや色彩を取り入れた独自の作品で注目を集める現代美術作家です。アートと科学を横断しながら、現在は東京大学大学院に在籍し、粘菌を培養・観察しつつ、その活動の痕跡を作品化する手法を追求しています。齋藤の表現は、生き物と私たちのつながりを再考させ、自然への新たな視点を提示します。
本展覧会では、代表作である微生物によって変化し続ける作品「Eaten Colors」をはじめ、ルミネの2025春のコピー「親切はいつもふたり以上を幸福にする。」から着想を得た言葉とともに展示を構成します。さらに、ルミネが不要になったファッションアイテムを買取・回収してリユースやリサイクルを行う資源循環サービス「anewloop」で回収された古着を使用し、新作も発表いたします。
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展示作品は、私が山で採取してきた粘菌に色素の含まれた餌を与えることによって生み出されるパターンを利用しており、人間の作者と粘菌の双方によって成り立ちます。
私は粘菌を生息地から引き離し、人工的な環境に隔離し、餌を与えて増やし、自然環境では決して出会うことのなかったであろう、染料や顔料などのさまざまな物質を与えます。一見すると人間が粘菌を利用しているようですが、粘菌を増やすために日々のケアを行い、湿度を保った環境を維持し、都会の真ん中に運ぶ私という人間は、あたかも赤く美味しそうな実に惹かれてついばみ食べ、フンをすることによって種子を遠くまで運ぶ小鳥のように、粘菌の生息環境を広げることに利用されているのかもしれません。
山の中で出会った粘菌たちは、私という人間を通して、ふだんの自然の中だけではたどり着けなかったような特別な環境を手に入れました。毎日手をかけて育てられ、ふつうは口にしない食用色素や顔料を与えられながら、湿気の保たれたケースの中で、ビルの中でも生きのびていく――そんな人工的な環境の中で、彼らは都市というまったく新しい場所での暮らしを始めています。この世界に棲んでいるモノたち–私たちは、いつもそんなふうにお互いを利用しながらでないと生きていくことができません。幸せも不幸も、常に二種以上を巻き込んでいるのです。
齋藤帆奈