アートディレクター/グラフィックデザイナーとして活躍する田部井氏の手掛ける本やパッケージには、凛とした品位のなかに明るいやさしさがあり、華美ではないにもかかわらず、人の目を惹きつける魅力があります。目的に応えたデザインは、それぞれ個性的な佇まいを持ちながらも、全体を俯瞰してみると「タベイミナイズム」ともいえそうな円環でつながっているように感じられます。その円の中心でエネルギーを放っているのが、本展のタイトルでもある[光と図形]の挑戦です。
服部一成氏の下でキャリアを積んだ田部井美奈氏は、独立後、自分にしかできないビジュアル表現を追い求め始めます。模索するなかで思い至ったのが「写真」表現の持つ、予定調和ではない世界の魅力を取り入れることでした。自分の意志ではコントロールできない「光や影」という現象、その三次元の世界に出現する偶然性を、二次元の紙面上に落とし込んでいく、時間と根気のいる行為に没入しました。自身の想像を超えたイメージが出現した瞬間、自分でもびっくりするという田部井氏。そうした身体性を伴う、ワクワクする時間ごと作品に投影されているとするならば、その深度の高さが、見る者を魅了する力となっているのかもしれません。
本展では、2018年より追究してきたこの実験作[光と図形]の最新作を、空間ごと体感できるかたちでお披露目します。また、これまで手掛けてきたブックデザインやパッケージ、ポスターなどのグラフィックワークの代表作を紹介します。双方を通じて「タベイミナイズム」の神髄に迫ります。
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ギンザ・グラフィック・ギャラリー 第409回企画展 田部井美奈 光と図形と、その周辺
大日本印刷株式会社/公益財団法人DNP文化振興財団
想像を超えたイメージへの飽くなき探求心。
■会期 2025年9月5日(金)~10月22日(水)
■会場
ギンザ・グラフィック・ギャラリー (ggg)
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1
■開館時間 11:00-19:00
■休館日 日曜・祝日
■入場無料
公益財団法人DNP文化振興財団の「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」は、全国各地で行われる、芸術文化を通じて豊かな社会づくりに参加する“企業メセナ”を顕在化し、その社会的意義や存在感を示すことを目的とした企業メセナ活動を認定する制度「This is Mecenat」に認定されています。