一昨年、《真珠とり》で幕を開けた「フランス・オペラ」の魅力を演奏会形式でお楽しみいただくシリーズの第2弾。今回お届けするのは、ジュール・マスネの代表作《ウェルテル》です。
《ウェルテル》の魅力は、なんといっても音楽そのものの美しさにあります。繊細な陰影をまとった伸びやかな旋律は、感情の微細な揺らぎをすくい取るように心へと訴えかけます。その旋律はフランス語の抑揚や響きと自然に溶け合い、言葉と音楽が分かちがたく結びつくことで、登場人物の内面を雄弁に描き出します。ウェルテルの内省的で燃えるような情熱、シャルロットの理性と抑制、そしてそこに潜む苦悩――マスネならではの抒情性が、心理の襞を丁寧に照らし出していきます。
「音楽による心理劇」とも言える本作には、演奏会形式がぴったりです。単なる簡略化ではなく、ドラマを前へ前へと進めていく音楽そのものに耳を澄ますことができ、歌手の声のニュアンスやオーケストラの色彩をより深く感じ取っていただけることでしょう。
ゲーテの原作が持つ精神性は、マスネの抒情性によってさらに研ぎ澄まされ、時代を超えて共感を呼ぶ普遍的な悲劇として結晶しています。 この公演のためにプロデューサー佐藤正浩のもと、素晴らしいキャストが集いました。 どうぞご期待ください。






