佐川梢恵、森野真琴は、架空の人物である森野真琴に対し、作品を通してコミュニケーションを試みる作品「REM」で、第24回グラフィック「1_WALL」グランプリを獲得しました。この試みは、「1_WALL」の応募資格が個人制作であることに着目し、「架空の人物と自分とで二人展をすることは可能か」という実験的な発想から生まれました。
作品は、佐川梢恵の自宅に森野真琴から絵の具のようなもので縁取りした木製パネルが届けられたことから始まります。それを受け取った佐川梢恵は森野真琴と合作を試みました。涎を垂らす、舌で舐める、蝋燭の火を吹きかけるなどの表現を通じて、森野真琴の作品に働きかけるイラストレーションを制作。審査員からは、架空の人物と展示をするまでの設定の作り込みや、仕組みを利用した企てが高く評価されました。
個展では、グループ展での取り組みを発展させ、“繰り返しが終わる最後の日の朝”をイメージした展示をします。会場全体を部屋に見立て、複数枚繋ぎ合わせたコピー用紙に、パステルや鉛筆、シャープペンシルで描いたイラストレーション、立体作品、パフォーマンスの組み合わせによるインスタレーションを展開し、佐川梢恵が森野真琴とコミュニケーションに取り組みます。10月6日(木)には、編集者の室賀清徳さんをゲストに迎え、トークイベントを行います。受賞から約一年後の個展を、ぜひご覧ください。