かつて香川県では「讃岐三白(さぬきさんぱく)」と呼ばれる砂糖・塩・綿の生産が盛んでした。
四国村ミウゼアムにある2棟の「砂糖しめ小屋」と、そこで搾汁したサトウキビの汁を煮詰める「釜屋」は、地域に根ざした伝統産業を今に伝える貴重な建物です。
また、砂糖製造に関する用具937点を収蔵しています。それらの建物と民具は、国の重要有形文化財に指定されています。
江戸時代中頃、香川で砂糖づくりがはじまりました。 当初は難航したものの、寛政元年(1789)頃、砂糖づくりに成功。白砂糖の前段階である白下糖をつくり、さらにこれを精製し白い砂糖が作られました。
その工程の中から讃岐特産の和三盆糖も生まれました。
本展では、写真家・新津保建秀が数年前から撮影を重ねた和三盆づくりの民具の写真と民具の実物、本展のために撮り下ろした作品を発表いたします。
「〈肌理(きめ)〉にレンズを介して触れていきながら、想像力のなかで過去と現在の時間を往還する。それは、そこにある人々の手仕事の痕跡から、当時の人々の生活に思いを馳せる。」と新津保は言います。
本展はアートディレクターの服部一成も企画段階から参加しています。
写真とグラフィックを大胆に重ねたキービジュアルは、古くからある道具と現在の時間を重ねているようにも見えます。
展示では、民具と写真に流れる時間に現代の側から呼応するように服部のグラフィックが点在します。
安藤忠雄が設計したモダンな空間の中に様々な時間が蘇ります。
グラフィックデザイン:服部一成
企画・編集:上條桂子
会場構成:中原崇志