PARCOプロデュース、新国立劇場、劇団俳優座などへの作品提供が続き、最新作『モモンバのくくり罠』が鶴屋南北戯曲賞を受賞した人気劇作家・演出家の横山拓也が代表を務めるiaku(いあく)。2013年に初演した『流れんな』を、10年ぶりにリクリエイションし上演します。2024年版では、演出を横山自身が手がけ、台詞を初演時の関西弁から広島弁に変えるのみならず、キャストも一新して新たな上演が立ち上がります。
『流れんな』あらすじ
小さな港町にある食堂とまりぎ。父が一人で切り盛りしている店をずっと手伝ってきた娘、長女の睦美(むつみ)と、結婚して家を出た妹、皐月(さつき)は一回り歳が離れている。母親が店のトイレで倒れたのは睦美が中学1年生のとき。そのとき、1歳にも満たなかった皐月には母親の記憶が無い。母の死から26年という長い年月が経った今、とまりぎは災難の渦中にいる。店でも使っている食材、地元で獲れた月日貝(つきひがい)から貝毒が見つかった。時を同じくして父が倒れ、店は休業を余儀なくされた。流すことができない苦悩を抱えた人々、その家族、店、町、海…。彼女たちは、ここで生きていく。
iaku
劇作家・横山拓也による大阪発の演劇ユニット。緻密な会話が螺旋階段を上がるようにじっくりと層を重ね、いつの間にか登場人物たちの葛藤に立ち会っているような感覚に陥る対話中心の劇を発表している。間口の広いエンタテインメントを意識しながら、大人の鑑賞に耐え得る作品づくり、繰り返しの上演が望まれる作品づくりを心掛け活動中。
代表作:「エダニク」(第15回日本劇作家協会新人戯曲賞)、「人の気も知らないで」(第1回せんだい短編戯曲賞大賞)、「逢いにいくの、雨だけど」(第26回OMS戯曲賞佳作)、「あつい胸さわぎ」(2023年1月まつむらしんご監督によって映画化)、「モモンバのくくり罠」(第27回鶴屋南北戯曲賞)、など。
横山拓也
劇作家、演出家、iaku代表。1977年、大阪府生まれ。2012年に演劇ユニットiaku(いあく)を立ち上げる。鋭い観察眼と綿密な取材を元に、人間や題材を多面的に捉える作劇を心がけている。身近にある社会的な問題を取り上げながら、エンタテインメントとユーモアに富んだ会話劇に定評がある。「消耗しにくい演劇作品」を標榜し、精力的に再演を実施。『エダニク』で第15回日本劇作家協会新人戯曲賞、『ハイツブリが飛ぶのを』の脚本で第72回文化庁芸術祭賞新人賞、『モモンバのくくり罠』で第27回鶴屋南北戯曲賞受賞。また、世田谷パブリックシアター『う蝕』(演出:瀬戸山美咲)、モボ・モガ『多重露光』、劇団俳優座『猫、獅子になる』(共に演出:眞鍋卓嗣)、新国立劇場『夜明けの寄り鯨』(演出:大澤遊)、文学座『ジャンガリアン』(演出:松本祐子)など、iaku以外への作品提供も多数。iakuの舞台作品を原作とした小説「わがままな選択」(河出書房新社,2022)、「人の気も知らないで」(小説新潮2023年6月号)の出版や、映画「あつい胸さわぎ」(まつむらしんご監督,2023)が公開されるなど、幅広く活躍中。