「WALL_shinjuku」では、ルミネ新宿が兼ねてより大切にしてきた「言葉で心を捉えるコピー」を原点としMEET YOUR ARTが企画をプロデュース、新進気鋭の女性アーティストによる展示企画をシーズンごとに開催し、アート作品を言葉とともに展示・販売します。
(※1…2018年にギネス世界記録に認定)
記念すべき初回展示は、高山夏希個展「推力の鳴く弧の此方」を開催いたします。高山が本展のために、アートと言葉との関係性を再考し、描き下ろした新作4点とともに言葉を展示します。
■高山夏希「推力の鳴く弧の此方」
「⼈⽣はおそらくまるく完全だ」(ヴァン・ゴッホ)本展では、画家のヴァン・ゴッホの⾔葉を起点として制作した作品群を展⽰する。このゴッホの⾔葉は、バシュラールの著書『空間の詩学』において<円の現象学>について論じるなかで取り上げられている。ヤスパースの⾔葉《Jedes Dasein scheint in sich rund》(現存はみなそれぞれにまるくまとまっているようにみえる)をはじめとして、ブスケ、ゴッホ、ラ・フォンテーヌらも、それぞれ独⾃に<⽣の円>についての⾔葉を残している。彼らは直感的に⽣をまるさ、あるいは円としてイメージしているのだ。バシュラールは彼らの超⼼理的な⾔葉を、判断し、愛し、わがものとするためには、現象学の態度をとらなければならないと述べている。私も、これらの⾔葉が持つイメージに共感しつつ、独⾃に世界のまるさについてイメージを持っている。人・イキモノ・モノ・環境が切り離されることなく、まるで⽺⽔に浸透しているように、内も外も境界なく繋がり合った「まるい内包」。このような世界観を、円形の⽀持体の上に⽴ち上げるようにして、<⽣の円>を表現するよう試みる。本作品群では、「⼈⽣はおそらくまるく完全だ」というゴッホの⾔葉を、潤沢なイメージの泉として、⽔鏡に映し出すようにして連鎖させてゆく。
高山夏希
【高山夏希プロフィール】
1990年東京都生まれ。
平面作品を中心に、注射器などでアクリル絵具を射出する手法を駆使して絵画を描いている。流れる粒子のように絵具を扱い、それらを積層させてから彫刻刀などで削り出すなど、触覚的あるいは彫刻的ともいえる手法を用いて制作をしている。現代の中で失われてしまった様々な物体と人間の関係の回復を試みるように、マテリアルへの感触を表現へと昇華している。人・動物・モノ・環境などが一体性をもった自然観をもとに、高山の作品世界はひろがっている。