ドイツ語で「美しい泉」を意味するシェーンブルン宮殿とその庭園群は、1996年にユネスコの世界文化遺産に指定されました。ハプスブルク家の狩猟場だった場所に女帝マリア・テレジア(1717-1780)が宮殿と庭園を整備し、夫の神聖ローマ皇帝フランツ1世(1708-1765)がその一角にメナジェリー(動物飼育施設)をつくりました。これが現存する世界最古の動物園「シェーンブルン動物園」の始まりです。その後、二つの大戦で被害を受けて1950年代後半に復興しましたが、財政難による劣悪な飼育環境が非難され、1987年に閉園の危機に陥りました。動物園への愛着があった当時の科学経済大臣が経営形態の変更を指揮し、新園長のもと動物福祉を重視した飼育環境を整えることで地元の支援者も増え、寄付による新しい飼育舎を建設するなど、欧州屈指の動物園へと生まれ変わりました。現在、来園者数は年間200万人を超え、オーストリアの観光地としてシェーンブルン宮殿に次ぐ人気となっています。270年以上の歴史を誇る同動物園は、宮殿らしい雰囲気を大切に守りながら、動物福祉が充実した最先端の飼育環境を整え、魅力的な動物園として進化し続けています。
特集では、シェーンブルン動物園のモンキーハウスやゾウ舎、キリン舎など様々な動物の飼育場と歴史的な建物を撮りおろしの写真で紹介。また、静岡県立美術館の木下直館長による動物園の歴史についての巻頭文、帝京科学大学の佐渡友陽一准教授に最先端をゆく世界最古の動物園 波乱万丈のシェーンブルン動物園小史をご執筆いただきました。更に、シュテファン・ヘリング・ハーゲンベック園長に時代とともに歩む動物園についてお話を伺いました。
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