島根県沖60kmの日本海に浮かぶ隠岐諸島のうち、本土に近い西ノ島・中ノ島・知夫里島の3島は「隠岐島前」は、遠流の島として流された貴人から都の文化がもたらされました。江戸時代には北前船の風待ち港として繁栄し、明治政府から「隠岐県」と認められた時期もありましたが、1960年代以降に少子高齢化が進み、平成の大合併で島前3島が各島の自主的な行政運営を宣言して独自の地域づくりを始めました。2008年に始まった県立隠岐島前高校の「高校魅力化プロジェクト」は外部人材を登用しながら地域一丸となって取り組み、学級増という結果となりました。島前唯一の高校の改革には必然的に3島がかかわることとなり、行政・移住者・地域住民が互いの利害を超えて連携し、3島の創意工夫に富んだ地域づくりは進化していきます。地場産業を学ぶカリキュラムや小中高生と大人それぞれの島留学など、学びを基軸に据えた視点は島外から協力者を呼び寄せ、多様な価値観を受け入れながら島の魅力を高めて、地域の活気をつくり出しています。
特集では、島前3島の自然や伝統行事や地域づくりの取り組みを撮りおろしの写真で紹介。また、作家の五木寛之氏の著書『日本幻論』所収の「隠岐共和国の幻」抜粋と、関西学院大学国際学部の長友 淳教授に「人が還流する島―隠岐島前の地域活性化の現在」についてご執筆いただきました。さらに、広島県三次市教育委員会の豊田庄吾次長に「挑戦事例としての隠岐島前の教育改革」についてお話を伺いしました。
デジタルブックをweb公開していますので、ぜひご一読ください。
和版 https://www.takenaka.co.jp/enviro/approach
英版 https://www.takenaka.co.jp/takenaka_e/library/pr_magazine
株式会社竹中工務店の「季刊誌 [approach] 本誌およびwebの制作・発行」は、全国各地で行われる、芸術文化を通じて豊かな社会づくりに参加する“企業メセナ”を顕在化し、その社会的意義や存在感を示すことを目的とした企業メセナ活動を認定する制度「This is Mecenat」に認定されています。