フランス近代美術の風景画は、自然の風景を古典的な表現で描き出す歴史風景画と決別するところから始まります。カミーユ・コローは自然を忠実に観察しつつ、戸外スケッチを行い、現実の風景から理想的な情景を抒情的に描き出しました。ギュスターヴ・クールベは理想化を拒否し、あるがままの自然を荒々しいタッチで描き、目に見えるものを描くレアリスム(写実主義)を推し進めました。こうした流れを受けてクロード・モネ、カミーユ・ピサロ、アルフレッド・シスレーといった印象派のグループの画家が登場し、彼らは筆致を並べる印象派の技法を用いて、パリ近郊の風景や日常的な街路といった新しい風景画を描き出します。モネは師であるウジェーヌ・ブーダンの描く雲や海の表現に影響を受けています。
また、新印象主義の画家であるポール・シニャックは、ジョルジュ・スーラの点描主義を推し進めて広める役割を果たしましたが、筆致を並べる印象派の技法を更に突き詰めていきました。そしてアンリ・マティス、アルベール・マルケやアンドレ・ドランは、形態を単純化しつつ色彩を独特の感覚で配置する絵画を制作し、それぞれのやり方でポスト印象派からその先へ展開させていきます。フランス北部や南部、そしてスイスまで、各地へ滞在して制作した画家たちの風景画の変遷を絵画10点、版画1点からご覧いただきます。
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フランス近代美術の風景画―コローからマティスまで
三菱地所株式会社/三菱一号館美術館
小企画展では、美術館の活動の根幹となる所蔵作品、または寄託作品や貴重書を中心に、学芸員の学術的な興味・関心に基づく展覧会を年に約3回行います。
■会期
2025年5月29日(木)~9月7日(日)
■会場
三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
■休館日
月曜日
但し、祝日の場合、トークフリーデー〔6月30日、7月28日、8月25日〕、9月1日は開館
■開館時間
10:00-18:00
(祝日を除く金曜日と第2水曜日、9月1日~9月7日は20:00まで)
【夏の特別夜間開館】8月の毎週土曜日も20:00まで開館します。
※入館は閉館の30分前まで
■観覧料金
小企画展の観覧料は、企画展(ルノワール×セザンヌ)に含まれます
※小企画展のみの入場はできません。
■主催
三菱一号館美術館