夏号では、岩手県の「小岩井農場」を特集しています。
小岩井農場は岩手山の南麓に広がる約3,000ヘクタールの牧場で、その面積は 東京・山手線の内側の約半分に相当します。「牧場の原風景」とも呼ばれる風光明媚な場所も以前は荒涼とした火山灰地でした。同農場の誕生は、1891年(明治24年)。鉄道庁(当時は鉄道局)長官の井上勝(1843〜1910年)、日本鉄道会社副社長の小野義眞(1839〜1905年)、三菱第二代社長の岩崎彌之助(1851〜1908年)が共同で設立したことから、それぞれの名前から一文字ずつとり「小岩井」と名付けられました。その後、1899年(明治32年) に、農業への造詣が深い三菱第三代社長の岩崎久彌(1865〜1955年)が経営を引き継ぐと、土壌改善と優良牛馬の輸入が積極的に行われ、現在の緑豊かな牧場が形づくられていきました。2017年、明治後期から昭和初期に建てられた生産設備を中心とした21棟が国の重要文化財に指定されましたが、その半数以上が今も現役で使用されています。2006年には家畜の排泄物を活用したバイオマス発電も始まり、持続可能な循環型農林畜産業への取り組みも進められています。
特集では、宮沢賢治の詩にも登場する国指定重要文化財の牛舎やサイロの他、観光農園「まきば園」、バイオマスプラント、一本桜と岩手山を撮りおろしの写真で紹介。また、東北学を提唱されている民俗学者の赤坂憲雄先生に「小岩井農場と宮沢賢治」について、札幌市立大学の大島卓教授に「小岩井農場の歴史的価値と動態保全の取り組み」についてご執筆いただきました。更に、小岩井農場資料館の野沢裕美館長に「創業の理念を受け継ぎながら変化を続ける小岩井農場」についてお話を伺いました。
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