585年に淡路島に香木が漂着して以来1400年余にわたる歴史を持つ日本の香文化。今回の企画展では「雅」をキーワードに高砂コレクション所蔵の香道具を展示するとともに、日本人にとって「香」の果たした意義の大きさを振り返りたいと思います。
仏教の伝来とともに日本人は「香」に出会います。仏教寺院では「香」の使用は欠かせません。そこでは香炉などの容器や道具もおのずから荘厳で豪壮なものが用いられてきました。その後、平安時代に洗練の極みを迎える薫物、そして室町時代に始まる香道と、日本の香文化はさらに深化を続けます。
さらに、近世以降は線香が普及し煎茶の文人趣味に取り入れられ、一方で茶人は香合の洒脱さを好むようになります。近現代に至っても陶芸家や金工家は好んで香炉や香合を作り、それらの多くは置物あるいはコレクションとして私たちの目を楽しませてくれています。また、西洋の香水が入って来た近代以降には、香水瓶も作られるようになりました。
そうした、各時代、異なる用途の作品を一堂に集めて展示します。日本の香文化の全体像を感じていただければ幸いです。
なお、特別展示として龍涎香や麝香も展示し、その主成分(エル・ムスコンとアンブリノール)の香りを嗅げるコーナーも設置します。
また、今回は「香に親しむ『聞香』体験会」および「香文化セミナー」を開催します。詳細は高砂コレクション®ギャラリーWebサイトをご覧ください。