秋号では、愛媛県の内子町を特集しています。
愛媛県のほぼ中央に位置する内子町は、面積の約8割を森林が占め、肱川の支流である小田川・中山川・麓川が流れる自然豊かな景観が広がります。1982年に町内の八日市護国地区が文化庁の「重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)」に四国で初めて選定されたことで、一躍知られるようになりました。江戸末期から大正期にかけて木蝋(もくろう)で栄え、当時の繁栄を示すように建ち並ぶ豪商屋敷や町家が残っています。1972年に文化庁による重伝建地区の調査対象として選ばれると、一人の町役場職員が中心となって、役場と地域住民の協働により内子町独得の伝統文化財を生かしたまちづくりを始めました。更に、大正時代に建てられた木造の芝居小屋「内子座」が1985年に復原保存され、八日市護国地区とともに町並み保存の中心的施設となりました。この内子座をきっかけに歴史的な町並みで有名なドイツのローテンブルク・オプ・デア・タウバー市との交流が始まり、姉妹都市盟約を結びます。住民と行政の協働によるまちづくりは農村の村並みを守る運動へと発展し、観光客との交流を通じた地域復興が続けられています。
特集では、八日市護国地区の歴史的町並みと芝居小屋「内子座」、ノーベル賞作家の大江健三郎氏の母校であり、建築家の原広司氏が設計した「大瀬中学校」、『全国モデル「道の駅」』に選定された「内子フレッシュパークからり」、狂言師の茂山千三郎氏が教える「子ども狂言くらぶ」を建築写真家の堀内広治氏撮りおろし写真で紹介。また、國學院大學観光まちづくり学部の西村幸夫部長に「地域の物語から出発する観光まちづくり」、松山大学の鈴木茂名誉教授に「住民と行政の協働から生まれたまちづくり」、作家の森まゆみ氏に内子町のまちづくりを牽引した町役場職員「内子の岡田文淑さん」についてご執筆いただきました。更に、ローテンブルク市のマルクス・ナザー市長に「姉妹都市関係がもたらす価値」についてお話を伺いました。
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