• 藁を燃やした煙で燻している様子(印傳屋本社工場)
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印傳の燻ー褐色の階調ー

株式会社印傳屋上原勇七/印傳博物館

藁で燻した茶褐色の鹿革工芸品

鹿革は柔らかく、模様付けなどの加工がしやすい特長があり装飾性をもたせることができます。燻技法は藁や松脂などを竈に入れて燻し、上部の穴から出る煙を太鼓と呼ぶ筒に貼った革にあてる作業を行います。これにより鹿革が柔らかくなり、茶褐色系の色や模様を施すことも可能となり、稲作の盛んな日本で鹿革の利用と共に古くから行われていました。煙で革を染める起源は明らかではありませんが奈良時代の正倉院の宝物にも燻す技が用いられたと考えられています。燻した鹿革は「くすべがわ」「ふすべがわ」とも称され、燻鞠・燻革威として蹴鞠の鞠や鎧の威等に用いられました。また時代が下るとその実用性から袴や火事装束、足袋等にも活かされるようになりました。
主な材料には稲藁が使われ、松葉や松根を入れて色の濃淡や定着を図り、材料や煙をあてる時間等によって淡い茶色から鼠色・鶯色まで染め出すことが可能です。さらに模様を施すには「糊置き」「糸掛け」があり、糊や糸の部分が防染されて白い模様が表れ、糸の巻き方の工夫によって縞だけではなく格子・鶉巻など多様な模様が生まれました。
煙で鹿革に色や模様付けを行う伝統的な染革の技は、柔らかな褐色の諧調と独特な模様を表現しています。

■会期   2025年11月22日(土)~2026年2月15日(日)
■休館日  2026年1月1日・2日
■開催場所 印傳博物館(山梨県甲府市中央3-11-15印傳屋本店2階)
■開館時間 10:00-17:00
■入館料  大人200円 小・中学生100円


株式会社印傳屋上原勇七の「印傳博物館の運営」は、全国各地で行われる、芸術文化を通じて豊かな社会づくりに参加する“企業メセナ”を顕在化し、その社会的意義や存在感を示すことを目的とした企業メセナ活動を認定する制度「This is Mecenat」に認定されています。

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