HIRAKU Projectは、過去にポーラ美術振興財団の助成を受けた作家を紹介する展覧会シリーズです。第17回目となる今回は、細かく砕いた色とりどりの石を組み合わせて画面をつくる、伝統的なモザイク技法を用いる気鋭の若手作家ヤマダカズキを紹介します。
油彩画に比べて陰影や細密な描写を持たないモザイクの「解像度の低さ」に着目した作家は、それを地域に伝わる民話や神話の不確かさと重ね合わせながら、曖昧さを含む伝承を石によって可視化する作品を制作してきました。本展では、ひたすら石を割り続けるというモザイク制作における反復行為を、山に住む精霊によって森に反響する「こだま」に喩え、これまでの代表作と、箱根にまつわる伝承を取り上げた過去最大の最新作によって会場を構成します。明瞭さや再現性ばかりを追い求める現代において、静かに鳴り響く石の声は、我々に何を問いかけるのでしょうか。






