第1日 9月14日(土) ~華麗なるピアノの調べ~
2016年の1月、ふきのとうホールが出来て初めてのNewYearコンサートに出演された阪田知樹さんの登場。今、 話題の葵トリオの小川響子さん、伊東裕さんと共にモーツァルトのピアノコンチェルトを演奏し、その時の演奏はふきのとうホールCD (非売品)となっている (現在交換は終了しています)。同年、ハンガリーのブダペストで行われたフランツ・リスト国際ピアノコンクールでアジア人男性として初の優勝を果たす。今回のハンガリー音楽への誘いの初日を飾るのに最もふさわしいピアニストと言えます。
プログラムはハンガリーの作曲家で一番名の知れたリストの曲を中心にバルトーク、コダーイ、 ドホナーニの曲をピアノソロと弦楽とのアンサンブルでお贈りします。
ハンガリーの音楽と言えば哀愁をおびたようなハンガリー民謡や、ロマ民族(ジプシー)の音楽を引用した物や影響を受けた物が多いのですが、リストはハンガリー出身ではありますがヨーロッパ各地で活躍し最も長く活動したドイツロマン派と位置付けられます。
ラ・カンパネラや愛の夢のようなロマンチックな曲が有名ですが、今回のプログラムはハンガリーの色を強く感じられるプログラムとなっています。
コダーイのオペラ、ハーリ・ヤーノシュのピアノ編曲版やリストのオーベルマンの谷のピアノトリオ版などはなかなか聴く機会の無い曲です。又、ドホナーニのピアノ五重奏はとても繊細な部分とダイナミックな部分の融合した非常に美しい曲でハンガリーを代表する奏者で構成されたカルテットと阪田さんの共演は必聴です。
第2日 9月15日(日) ~弦楽器の妙技~
国内外で活躍し2016年からはハンガリー国立歌劇場管弦楽団コンマスを務める長尾春花さん。真駒内の六花亭コンサートにも度々出演し、さらに2018年8月にはピアノの加藤洋之さんと共にふきのとうホールに登場したことは記憶に新しい。同年ハンガリーで行われたカール・フレッシュ国際ヴァイオリンコンクール第一位となり話題を呼んだ。若い頃から六花亭とゆかりのあった長尾さんが、ハンガリーの主要オーケストラのコンマスと首席奏者で結成されたシグティカルテットの第一ヴァイオリン奏者として帰ってきました。
ハンガリーの作曲家で構成される今回の演奏会。実は第2日のサラサーテだけはスペインの作曲家なのですが、有名なチゴイネルワイゼンはいくつかのハンガリー民謡や大衆音楽のメロディを組み合わせて作曲されています。哀愁を持ち合わせ劇的に始まる冒頭は、誰でも聴いた事のあるあのヴァイオリンの名曲です(カップヌードルのCMにも使われてました)。ドホナーニのセレナーデ弦楽三重奏から始まり、二重奏や無伴奏と弦楽器の魅力を充分に詰め込んだプログラムとなっております。
またこのカルテットでバルトークの弦楽四重奏を演奏するのは2日目のみ。3日目のバルトークの世界への橋渡しとなることでしょう。
フェスティバルのフィナーレはオール・バルトークプログラム。
バルトークは作曲家、 ピアニストで民族音楽の研究家でもあった。若い頃、ウィーン音楽院に入学を許可されたがハンガリーの作曲家としての自分でいるためブダペスト王立音楽院(リスト音楽院)に入学しハンガリーに残る。その後26歳の若さで同音楽院のピアノ科教授となり、ピアニストとして各地を旅するのでなくハンガリーに留まったことでも更に民族音楽の研究をすすめた。最終的にはアメリカに渡りニューヨークで亡くなる。
3日目のピアノを務めるのは、もうふきのとうホールではお馴染みの加藤洋之さん。前回の長尾さんのリサイタルでも共演してますが、2017年ニューイヤーでは郷古廉さんのパートナーとして、2018年は池松宏さんともコンサートに登場。今回、 ソロでピアノソナタを聴かせて下さるのがとても楽しみです。
そして信頼深い長尾さんと加藤さんペアのヴァイオリンソナタの演奏と、クラリネット三界 秀実さんを加えてのアンサンブルは、存分にバルトークの世界をお楽しみ頂けます。