木口木版画は、黄楊(つげ)や椿などの堅い木を輪切りにした面(木口)を銅版画用のビュランで彫ることで、細密な表現ができる木版画です。かつて印刷物の挿絵図版として普及したものの、写真製版技術の台頭により衰退した木口木版画は、1960年代以降の日本において美術表現として甦り、現在にいたるまで独自の発展を見せてきました。決して大きいとはいえない画面の中に、ときに高度な象徴性や文学性をまとった濃密なイメージが展開する作品は、私たちの心を惹きつけてやみません。その繊細で詩的な刻線は、作家の精神と物質としての版木が出会い、共鳴することで生まれた世界の痕跡ともいえるでしょう。本展は13人の現代作家が手がけた作品により、いまに生きる木口木版画の魅力をご覧いただきます。
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