田凱は、かつて石油の産出で栄えた町が石油の産出量の低下とともに廃れていく光景と、そこで生活する人物を撮影した作品、「生きてそこにいて」で第19回写真「1_WALL」グランプリを獲得しました。審査員からは芸術性の高いドキュメンタリー写真として、高く評価されました。
本展では、グランプリ受賞作品に、新たに撮影した写真を加え、再構成し展示します。
荒涼とした風景の中に佇む西洋風の彫刻、人気のない建物、新婚のカップルのポートレート、ベッドに腰掛ける青年の後ろ姿。故郷が少しずつ変化していく様子を、田は5年間にわたり、断続的に撮影し続けてきました。被写体から一定の距離感を保つように撮影された写真たちは、ある限定された都市の記録に留まらず、普遍的な故郷の姿を映し出し郷愁を誘います。それと同時に、盛衰を繰り返す世界のあり方をも表現しているかのようです。
会期中の7月31日(水)には、美術批評家の沢山遼さんをゲストに迎え、現代美術の観点から本展を掘り下げてお話いただきます。グランプリ受賞から1年後の個展を、是非ご覧ください。