今秋のgggでは、『葛西薫展 ‘AERO’』（1992年）以来、およそ30年ぶりに葛西薫氏の個展を開催する運びとなりました。葛西氏は、グラフィック・デザイナー、そしてアート・ディレクターとして長年活躍され、中国の美しい風景が印象深いサントリーのウーロン茶や、ジャンルイジ・トッカフォンドの夢のような絵が忘れられないユナイテッドアローズなど、数々の名作広告を世に送りだしてきました。広告以外にも、パッケージ、CI/サイン計画、小説や詩集の装幀、映画/演劇関連のグラフィックなど、幅広い分野の仕事を手掛けてきましたが、どのようなジャンルにおいても、時代の空気に左右されない不思議な力が見る者を惹きつけてやみません。それは、葛西氏が常に手を動かし、身体で考えながらものづくりに向き合ってきたことも、理由のひとつと言えるのではないでしょうか。
『NOSTALGIA（ノスタルジア）』と名付けられた本展では、アイデアスケッチやメモ類など、過去の創作物の断片たちと改めて対峙し、もう一度葛西氏の身体を通して再生された新作の数々を初公開します。手業（てわざ）から生まれる懐かしくて新しいノスタルジアの世界を、ぜひご体験ください。