木原千裕は、恋人の僧侶との関係を彼女が所属する寺から拒絶された出来事をベースにした「Circuit」で第23回写真「1_WALL」でグランプリを受賞しました。審査員からは、作品が扱う問題の多様性や、到達困難な海外の聖地へ向かい撮影する行動力とそれによりテーマを深めたことが高く評価されました。
本展では、恋人であった僧侶を被写体とした作品や、寺の法要風景、仏教を含む多数の宗教で聖地とされるカイラス山の巡礼路で撮影した写真、地元福岡を撮した作品などを展示します。寺に拒絶された葛藤から信仰による救いとは何か、人間の尊厳とは何かを考え、巡礼の旅を通して、また写真と向き合うことで自身を発見していきました。木原の作品は、過ごした時間の長さや親密さに関係なく、人と人との関わり合いによって出来事は紡がれていき、今、一瞬一瞬の自分自身のあり方が、生きることそれ自体であることを示唆しています。
6月6日(月)には、写真家の津田直さんをゲストに迎え、トークイベントを行います。受賞から約一年後の個展を、ぜひご覧ください。