1997年に急逝したグラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザインの発展に寄与することを目的として、1999年、亀倉雄策賞が設立されました。この賞の運営と選考は公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)が行い、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者に対して贈られます。
第24回は、大貫卓也の平和希求キャンペーンポスターおよび関連制作物「HIROSHIMA APPEALS 2021」に決定しました。大貫は、博報堂でアートディレクターを務めた後、1993年に独立し、大貫デザインを設立。批評的な視点で物事の本質や課題を捉え、ビジュアル表現で社会への提案を行ってきました。これまでに、日清食品カップヌードル、ラフォーレ原宿、新潮文庫Yonda?、資生堂TSUBAKI、SoftBankなど数々のブランドコミュニケーションを手がけています。
ペプシコーラPepsimanのボトルキャップをはじめ、結果を出すことに首尾一貫し、既存の表現に倣わない新たなブランドコミュニケーションを展開。そこには解にたどり着くまでの膨大な量の思考と試行があります。結果を追求する姿勢、課題解決のための革新的なアイデア、細部のニュアンスまで追求したビジュアルなどにより、常に時代を切り拓くブランドコミュニケーションを生み出してきました。
受賞作品は、平和を希求するキャンペーン「HIROSHIMA APPEALS」の2021年版ポスターとその関連制作物。1枚のポスターとして完結しながら、さらにAR技術により、黒い雪の中から白い鳩があらわれる映像をスマートフォンで見ることもできます。選考委員からは「黒いスノードームの怖さと白い鳩の美しさの対比が鮮やかでメッセージが強い」「鳩の立体造形をはじめ、徹底して作り込まれた完成度が見事」「長い歴史を持つキャンペーンにおいて、新しい技術も起用し、原爆の記憶を次世代に何としても伝えようとする作者の意志を感じる」と高く評価されました。
この受賞を記念して個展を開催いたします。