「工藝を我らに」は2015年から始まった、資生堂アートハウス主催のグループ展です。本年のメンバーは、十四代 今泉今右衛門(陶藝)、中條伊穗理(漆藝)、三代 吉羽與兵衛(金工)、安達征良(ガラス工藝)の4名。メンバーによる新作に加え、アートハウスの所蔵品や古美術、工業製品など、制作された時代や地域、方法にこだわることなく選ばれた器や道具類を組み合わせ、実際に生活の中で工藝品を用いる場面を想定しての構成が見どころです。また、今回は従来の展示に加え、メンバーが共同で制作した「茶箱」や愛用の品々を持ち寄って組み合わせた「酒宴箱」など、新たに企画が加わりました。「第二次 工藝を我らに」は今年で3回目を迎え、メンバーは本展を舞台に、機知と創意に満ちた新しい制作に打ち込んでいます。会場には生活を楽しみ、人生を彩るためのさまざまなヒントが散りばめられています。
今年で創業150年を迎える私ども資生堂は、化粧品販売にとどまらず、藝術や文学、食文化、ファッションに至るまで、さまざまな文化を戦前から発信してきました。本展は、文化によって生活を彩り、美しさによって暮らしを豊かにしたいと願った私どもの思いを展覧会の形で表現しています。未だに続くコロナ禍の下、本展をご覧になった時間が、今日から明日へ続く日常に少しでも明るさと喜びを添えていただくことになれば、主催者としてまことに幸甚です。