白井茜は、「家族とは何か」という幼少期からの疑問を起点に、自身の家族である白井家と高校時代の恩師の家族である多胡家、二つの家族を撮影した映像作品「繋」で第24回写真「1_WALL」グランプリを受賞しました。白井家と多胡家の映像を二つ並べたモニターで同時再生し、左右に設置したスピーカーからそれぞれの音声を出力することで一つの作品になるよう構成しました。
審査員からは、被写体はありふれたどこにでもある家庭ではあるものの、家族という存在が含み持つ繋がりと束縛のアンビバレントさを映像化した点が高く評価されました。
個展では、グランプリ受賞後、少しずつ家族の状況が移りかわるさまを撮影し、再構成した映像作品をさらに大きな二つのスクリーンで同時に上映します。
白井の祖母との食事風景や、庭の花を手入れする様子、多胡家が墓参りに向かう後ろ姿、多胡家に友人が来て会話をする様子、ベッドに横たわる姿など、白井は約2年間にわたって二つの家族を撮影し続けてきました。家族の中に、心の支えである安心感と束縛される不自由感が同時に存在している様子を表現しています。
また、会期中11月11日(金)には、キュレーターの小原真史さんをゲストに迎え、トークイベントを開催します。グランプリ受賞から約一年後の個展を、ぜひご覧ください。